暴落が怖い人へ|積立投資を始める前の4つの準備

暴落が怖い人向けに積立投資前の準備を解説するアイキャッチ お金の基本

NISAで毎月積み立てようと思っても、「始めた直後に大きく下がったら」と考えると、設定画面で手が止まることがあります。貯めたお金が減る不安は、「長期なら大丈夫」の一言では片づきません。

暴落が怖いときは、下がる時期を予測するより、使う予定のお金を分け、値下がりを円で想像し、毎月の積立額と見直す条件を確かめる方が、判断の材料になります。積立投資にも元本割れはあり、続ければ必ず取り戻せるわけではありません。

この記事は、これから積立を始める人に向けて、生活費を守る分け方、下落金額の計算例、積立を止めることと売ることの違いを整理します。家計の準備ができていなければ、今は始めないという選択も含めて考えられます。

積立でも、すでに買った資産は値下がりする

積立投資は、買う時期を分ける方法です。買った資産の値下がりを防ぐ仕組みではないため、積立中でも保有資産全体の評価額が、投資した金額を下回ることがあります。

毎月同じ金額で買う場合、価格が低い月は多く、高い月は少なく買います。たとえば、1万口当たりの基準価額が1万円の投資信託に1万円を投じると、購入できるのは1万口。翌月の基準価額が8,000円なら、同じ1万円で1万2,500口を買える計算です。手数料などを除いた仮の例です。

ただし、多く買えたあとにさらに価格が下がれば、保有分の評価額も下がります。安く買えたことと、利益が出たことは別です。日本証券業協会「投資のはじめ方」(J-FLEC掲載)も、定額購入で収益が確実になるわけではなく、価格が下落し続ける場合などには損失が生じると説明しています。

「積立だから下がっても平気」と自分に言い聞かせるより、下がった状態で生活に困らないかを先に考える。そのための準備が、次の4つです。

積立を始める前に確かめたい4つのこと

確認する順番は、お金の使い道、下落したときの金額、毎月の積立額、見直す条件です。貯金残高だけを見て投資額を決めると、あとから必要になる支出を見落としやすくなります。

1. 近く使うお金と生活防衛費を投資から外す

投資に回せるかを考える前に、日々の支払い、予定が決まっている支出、収入が途絶えたときのお金を分けます。使う日に値下がりしていると、回復を待てずに売却する可能性があるためです。

たとえば預金が100万円あっても、半年後の引越しに20万円、急な収入減への備えに60万円を残すなら、残りは20万円です。この20万円も、そのまま全額を投資してよいという意味ではありません。家電の買い替えや医療費など、まだ含めていない支出がないかで余裕は変わります。

この金額は説明のための仮定で、生活防衛費を一律60万円にする提案ではありません。毎月の生活費、収入の安定性、扶養する家族、使える保障によって、必要な備えは違います。

金融庁「資産形成の基本」では、家計の収支を把握し、ライフプランとお金が必要な時期を考えることが出発点になっています。備えの金額で迷う場合は、生活防衛費を投資の前に置く考え方から確認すると、残高と投資予算を混同しにくくなります。

2. 下落率を「減る金額」に直してみる

「30%下落」と聞くだけでは、生活への影響がつかみにくいものです。同じ割合でも、投資している金額によって減少額は変わります。

下の表は、その時点の保有資産の評価額に、仮の下落率を掛けたものです。期間中の追加購入・売却、分配金、税金、費用は考慮していません。10%・30%は計算練習用であり、今後の下落予測や最大損失の目安ではありません。

下落前の評価額10%下落した場合30%下落した場合
10万円9万円に減る(減少1万円)7万円に減る(減少3万円)
50万円45万円に減る(減少5万円)35万円に減る(減少15万円)
100万円90万円に減る(減少10万円)70万円に減る(減少30万円)

100万円が70万円になる例なら、「30万円減った状態で、家賃や予定していた支払いに困らないか」「その状態が続いても眠れそうか」と考えられます。家計が耐えられることと、気持ちが耐えられることは、どちらも無視できません。

また、100万円から30%下がった70万円は、その後30%上がっても91万円です。元の100万円に戻るには約42.9%の上昇が必要になります。回復にかかる時間は決まっていないため、「すぐ戻るはず」を生活資金の計画に入れない方が考えやすくなります。

積立を続けて保有額が増えると、同じ下落率でも減少額は大きくなります。開始時だけでなく、残高が増えたときにも、円で見直す意味があります。

3. 積立額には、年払いの支出や収入減への余白を残す

毎月の黒字が、そのまま積立に回せる金額とは限りません。普段の家計には現れない年払いの費用や、支出の多い月があるためです。

たとえば、手取り25万円、通常の生活費22万円なら、差額は3万円です。ただ、年12万円の支出に備えて毎月1万円を取り分ける必要があれば、残るのは2万円。さらに生活防衛費を積み増す必要があるなら、投資の候補額は小さくなります。

この例で月2万円を勧めているわけではありません。「通常の月に余る金額」から、年払いの準備や不足している貯金を差し引くという見方です。ボーナスや残業代が減ると続けられなくなる設定は、収入の前提から見直せます。

特に、下落したら追加購入するつもりで生活費まで使ってしまうと、安い価格で買えたとしても家計の余裕を失います。積立額の計算をもう少し具体的に見たい場合は、家計の3つの数字から積立額を考える例がつながります。

4. 見直す条件を、株価以外にも決めておく

積立を始めたあとに見るのは、相場だけではありません。収入、使う予定の時期、保有商品の運用方針が変われば、開始時の計画が合わなくなることがあります。

たとえば、育休や転職で手取りが減った、数年先だった支出が半年後になった、投資信託の運用方針が変更された、といった場面です。それぞれ、毎月の積立額、手元資金、商品を保有する理由という別の項目を確認します。

起きた変化先に確かめることその確認が必要な理由
手取りが減った積立を差し引いたあとの生活費と預金残高積立継続で家計の赤字を広げないため
お金を使う日が近づいた必要額、預金で用意できる額、換金にかかる日数支払日までに現金が足りるかを判断するため
商品の内容が変わった運用会社のお知らせ、最新の目論見書購入したときの目的とずれていないかを見るため
値下がりで強い不安が続く投資額、資産の偏り、使う予定気合いで我慢する前に、取っているリスクを見直すため

残高画面を見る回数を減らして落ち着けても、支払いに必要なお金が足りない問題は残ります。値動きの不安と家計の不足を分けると、何を見直すかがはっきりします。

積立の減額・停止と、保有分の売却は別の操作

「怖くなったら積立を止める」と考えている場合は、止めたあとの保有分にも目を向けたいところです。積立設定を解除しても、それまでに買った投資信託が自動で現金になるわけではありません。

減額や停止は、これから買う分を変える操作です。売却は、すでに持っている分を換金する操作。それぞれ目的が違うため、一つにまとめて考えない方が判断しやすくなります。

操作何が変わるか残る確認点
積立額を減らす今後の買付金額が少なくなる変更が何月分から反映されるか
積立設定を停止・解除する反映後の継続買付を止めるすでに出た注文の扱いと、保有分の値動き
保有分を売却する売却が成立した分を換金する売却価格、費用・税金、受渡日、銀行へ出金できる日

たとえば生活費の不足を避けるために翌月の買付を減らしたいなら、確認するのは積立設定と変更締切です。来月の支払いに現金が必要なら、保有分の換金や出金にかかる時間も関係します。同じ「投資をやめる」でも、必要な確認は異なります。

操作名や締切は金融機関・決済方法で違います。楽天証券iGrowの積立設定解除ヘルプのように、利用先の公式案内と注文状況を見て確認できます。ここで特定の売却や停止を勧めているわけではなく、操作を混同しないための説明です。

よくある疑問

暴落するまで始めずに待った方がいい?

いつ大きく下がるか、下がったあとさらに下落するかは、事前には分かりません。開始を待つなら「家計の備えが足りないから待つ」のか、「もっと安くなると予想して待つ」のかを分けると、次に確認することが変わります。前者なら、必要な貯金額や毎月の収支が判断材料になります。

少額なら、値下がりを心配しなくていい?

少額でも値下がりの割合は小さくなるとは限りませんが、減る円の金額は抑えられます。たとえば1万円の30%は3,000円です。その3,000円が減っても生活に困らないか、不安が強くなりすぎないかは人によって異なります。

売らなければ損失はないと考えていい?

売却していなくても、保有資産の評価額が減っている状態は存在します。100万円で買ったものの評価額が70万円なら、30万円の評価損があり、将来100万円へ戻る保証はありません。現金が必要になる時期も含めて、保有を続ける前提を考えます。

まとめ

暴落への不安があるときは、使う予定のお金を投資から外し、下落率を円に直し、毎月の積立額に余白を残し、見直す条件を決める。この4つで、漠然とした怖さを具体的な確認項目に分けられます。

それでも生活費が不足しそうなら、始める時期を急がなくても構いません。今はNISAを始めないと判断する4つの基準から、準備が足りない部分を確認できます。家計には余裕があっても投資先の偏りが気になるなら、分散投資の4つの分け方へ進むと、次の疑問を分けて考えられます。

※本記事は一般的な情報提供であり、特定の商品や売買の推奨ではありません。投資には元本割れのリスクがあり、長期・積立・分散でも損失を防げるとは限りません。計算例は仮定に基づき、将来の相場や成果を示すものではありません。公式情報の確認日は2026年9月23日です。実際の手続き・商品内容は最新の公式資料をご確認ください。

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