NISA口座と特定口座の違い|税金・確定申告・損失の5項目を比較

NISA口座と特定口座の税金・確定申告・損失の違いを解説する記事のアイキャッチ NISAの前に

証券口座を開くと、買付画面に「NISA」と「特定」という選択肢が並ぶことがあります。「NISAを使うなら、特定口座は要らないのでは?」と戸惑いやすいところです。

NISA口座と特定口座は、どちらか一方が優れている関係ではありません。NISA口座は一定の条件で運用益を非課税にする場所、特定口座は課税される取引の計算を金融機関がまとめる場所です。

この記事では、税金、投資できる金額、損失、確定申告、売却後の5項目を比べます。税務上の扱いは個別状況で変わるため、申告が関係する場合は税務署や税理士へご確認ください。

制度情報の確認条件
確認日: 2026年8月5日
確認先: 金融庁NISA特設サイト、国税庁タックスアンサーNo.1474・1476
課税口座の税率例: 上場株式等の譲渡益に所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%(合計20.315%)
制度・税率は変わる可能性があるため、取引・申告前は最新の公式情報をご確認ください。

NISA口座と特定口座の違いは5項目で比べる

最初に見るのは「どちらが得か」ではなく、利益と損失をどう扱う口座かです。2026年8月5日時点の制度を、同じ前提で並べると次のようになります。

NISA口座と特定口座の比較(2026年8月5日確認)
比較項目NISA口座特定口座
利益・配当の税金制度要件を満たす利益・配当は非課税原則20.315%。源泉徴収ありなら金融機関が徴収
投資できる金額年間360万円、非課税保有限度額1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)制度上の年間投資枠はない
売却損税務上ないものとされ、損益通算・繰越控除はできない要件を満たせば損益通算・3年間の繰越控除が可能
確定申告NISA内の利益は原則不要源泉徴収ありは申告不要を選べる。なしは原則申告が必要
売却後売却した商品の簿価分は翌年以降に枠を再利用できる売却してもNISA枠とは関係しない

この表だけで買付口座を決めるのではなく、次の各項目で「利益だけでなく損失もどうなるか」を確認します。

1. 利益が20万円出たときの税金はどう違う?

NISA口座では、制度要件を満たす売却益や配当・分配金が非課税です。特定口座では、上場株式等の譲渡益に原則20.315%の税金がかかります。

たとえば100万円で買った上場株式を120万円で売り、手数料等を考えない理解用の例では、利益は20万円です。特定口座なら税額は約4万630円(20万円×20.315%)、手取り利益は約15万9,370円です。NISA口座で要件を満たすなら、この20万円の売却益には課税されません。

配当は受取方式も確認
NISAで国内上場株式の配当を非課税にするには、原則として証券会社の口座で受け取る「株式数比例配分方式」が必要です。銀行口座などで受け取る方式では課税される場合があります。詳しくはNISAと課税口座の配当税・受取方式をご覧ください。

2. NISAには年間投資枠と非課税保有限度額がある

NISAは非課税で買える金額に上限があります。年間投資枠は、つみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円の合計360万円です。生涯の非課税保有限度額は1,800万円で、そのうち成長投資枠は1,200万円までです。

特定口座にはNISAのような年間投資枠はありません。ただし、枠がないことと、無理なく投資できる金額は別です。生活費や近い将来の支出を先に残し、NISA枠を埋めること自体を目標にしない方が判断しやすくなります。

成長投資枠で何を買うか迷う場合は、NISA成長投資枠を使う前の投資方針5項目を先に確認できます。

3. NISAの損失は特定口座の利益と相殺できない

NISAの注意点は、利益が非課税になる代わりに、売却損も税務上はないものとされることです。NISAで10万円損をし、特定口座で20万円の利益が出ても、差額10万円だけに課税されるわけではありません。

一方、課税口座で生じた上場株式等の譲渡損失は、要件を満たせば上場株式等の配当等との損益通算や、翌年以後3年間の繰越控除ができます。別の金融機関の口座との相殺や繰越控除には確定申告が必要です。

「NISAなら税金がかからない」だけでなく、値下がりしたときに損失を税務上使えない点まで含めて口座の役割を見ます。

4. 特定口座は源泉徴収あり・なしで申告の手間が変わる

特定口座では金融機関が年間の譲渡損益を計算し、特定口座年間取引報告書を作ります。源泉徴収ありを選ぶと、その口座内の利益から金融機関が税金を徴収し、申告不要を選べます。

特定口座の源泉徴収あり・なし
種類税金の扱い確認したい場面
源泉徴収あり金融機関が計算・徴収。口座単位で申告不要を選べる別口座との損益通算や繰越控除を使うなら申告を検討
源泉徴収なし金融機関は年間損益を計算するが、納税は自分で申告利益額や他の所得を含め、申告要否を確認

源泉徴収ありでも、申告すれば必ず有利になるわけではありません。所得や控除、配偶者・扶養、国民健康保険料などへ影響する場合があるため、個別判断は公式の申告案内や専門家へ確認します。

5. 売却後はNISA枠の戻り方を分けて考える

NISAで商品を売却すると、売却した商品の取得額(簿価)分の非課税保有限度額を翌年以降に再利用できます。ただし、その年に使った年間投資枠が同じ年に戻るわけではありません。

たとえば100万円で買った商品を120万円で売った場合、再利用できる非課税保有限度額は売却額120万円ではなく簿価100万円分です。売却年の年間投資枠へ即日戻ると考えないことがポイントです。

使い分けは「商品・枠・損失」の順で決める

買付画面で迷ったら、まず商品がNISAの対象か、次に今年の投資枠と非課税保有限度額が残っているか、最後に損失の税務上の扱いまで理解できているかを見ます。

買付口座を考える3段階
順番確認すること立ち止まる例
1. 商品NISA対象商品か、投資目的に合うか対象だから安全・自分向きだと思っている
2. 枠年間投資枠と非課税保有限度額が残っているか生活費を減らしてまで枠を埋めようとしている
3. 損失NISA損失は損益通算できないと理解しているか短期売買の損失を他口座の利益と相殺する予定がある

NISAを先に使い切ることが全員の正解ではありません。保有期間、売買頻度、使える資金、損失の扱いを合わせ、分からないまま口座名だけで決めないことが大切です。

NISA口座と特定口座でよくある疑問

NISA口座があれば特定口座は解約してよいですか?

一概には決められません。NISA枠を超えて投資する場合、NISA対象外の商品を取引する場合、課税口座の損益を管理する場合に特定口座を使うことがあります。

NISAと特定口座で同じ商品を持てますか?

金融機関の取扱いとNISA対象条件を満たせば、同じ銘柄・投資信託を別口座で保有することはあります。ただし取得価額や税金は口座ごとに扱われます。

特定口座からNISA口座へ商品を移せますか?

保有商品をそのまま移すことはできません。NISAで持ちたい場合は、NISA口座で新たに買い付けます。特定口座の商品を売ると、利益には課税される可能性があります。

源泉徴収ありなら確定申告は絶対に不要ですか?

申告不要を選べますが、別口座との損益通算や損失の繰越控除を使う場合は確定申告が必要です。申告による他制度への影響も含めて判断します。

まとめ

NISA口座は一定の投資枠で利益を非課税にする場所、特定口座は課税取引の損益計算を金融機関がまとめる場所です。違いは税金だけでなく、枠、損益通算、申告、売却後の扱いまであります。

買付口座に迷ったら、商品が対象か、NISA枠が残っているか、損失をどう扱うかの順で確認します。制度や税率は変わる可能性があるため、取引・申告前は金融庁、国税庁、利用する金融機関の最新情報をご確認ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的とし、特定の口座・金融商品・売買方法を推奨するものではありません。投資には元本割れリスクがあります。税務上の取扱いは個別状況で異なるため、税務署・税理士等へご確認ください。

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